人事評価


長妻・厚労相 単独インタビュー

成長戦略を年内にも策定 政府 http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1014248&media_id=4 以下、日経ビジネスオンラインの記事の転載です。 2009年11月9日(月) 自ら電卓たたきムダ削減 長妻・厚労相 単独インタビュー http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091106/209074/ 子ども手当、年金、医療制度、雇用など、山積する問題に取り組む長妻昭・厚生労働 大臣。「政治主導」を実践するため、野党時代の3倍働いている、と言う。膨れ上が る予算だが、行政刷新会議に頼らず自省でも削減を進める、と意気込む。 問 だいぶ、お疲れの様子です。 答 業務量というか仕事の密度は、野党の一議員だった時と比べて3倍くらいになり ましたので。自民党政権だったら、大臣になってもすべてお膳立てが整っている。極 端に言えばハンコをつくくらいだと推察されます。ただなにぶん、民主党が政権を取 るのは初めてだし、私も初めての大臣ですので何かと大変なのも仕方がない。  まあ、自民党の大臣で、予算額などについて自分で電卓をたたく大臣はいなかった んじゃないかな。 問 長妻大臣はたたく。 答 最初は自分でやってみないことにはどうにもならないですから。  大臣になって1カ月半。何度、財務省を訪れたか分からない。厚生労働省の官僚に 聞くと、大臣が財務省に行くのは、1年に1回がいいところだった。頻繁に出向く大臣 は初めてだ、と。 問 かつては事前に官僚が調整していたわけですね。 答 最後に大臣同士がシャンシャンで儀式をやる。私の場合、官僚に囲まれて説明を 聞く時間より、2人の副大臣、2人の政務官といる時間の方がはるかに長い。彼ら政治 家のフィルターを通して、私は官僚の話を聞くようにしています。 問 政治主導とはいえ、すべてを副大臣、政務官を含めた5人でこなすのには無理が あるのでは。 答 大臣になってからこれまで、省内の課長クラスにも会い、細かな案件まで首を 突っ込んできました。どの部分なら官僚に任せて大丈夫か、どの部分は難しいか、見 極めてきた。大方の線引きはできたので、今後はもう少し時間的な余裕ができると思 います。 【公約破棄では、自民政権と同じ】 問 厚生労働省の来年度予算の概算要求は28兆8894億円と、自民党政権下で作った今 年度の当初予算より約3兆7000億円余り増えてしまいました。 答 高齢化に伴う社会保障費の自然増が約1兆円あります。それを除いた増加分の大 半が「子ども手当」です。少子高齢化に対応する厚労省の宿命とも言える。民主党は マニフェストで「コンクリートから人へ」とうたったわけで、厚労省の予算が大きく なるのはある程度はやむを得ない。だからこそムダの排除には、他の省庁より神経を 尖らせないといけないのです。 問 「子ども手当」を含め、民主党はマニフェスト至上主義に陥り、財政規律の悪化 を招くと指摘されています。 答 マニフェストは国民との約束だとの考え方は一切変わってはいません。ここで約 束を破ったら、自民党政権と同じになってしまう。 問 しかし、補正予算の減額など、思ったほど財源が出てきません。 答 行政刷新会議や財務省が厚労省関連予算の削減に向けて動いています。実は、厚 労省自身もその削減に取り組んでいるのです。刷新会議や財務省は、あくまで外部の 視点で削ります。それを内部からも見つめ直す。事務次官をトップに厚労省の内部か らムダな予算を削る作業をしています。  【大臣という名のマネジャー】 問 そうしたムダの排除を人事評価につなげていく考えとか。 答 ムダを排除しながら、役所の文化そのものを変えていきます。私は大臣という名 のマネジャーです。本来の役割は、政策の大きな方向性を決めることと、役所の文化 を変えること。その結果、官僚組織が真に国民に資するサービスを自発的に提供でき るようになればベストです。私などいなくてもきちんと動き始めれば信用される組織 になる。そうなれば、もう電卓をたたく必要もなくなるでしょう。官僚が関係者との 間で、どうしても調整がつかない時に政治が出ていく。それが本来あるべき姿だと思 います。 問 具体的にどのようにして役所の文化を変えつつあるのですか。 答 人事評価の基準を変えました。様々な項目について目標を設定し、半年ごとにそ れをレビューする仕組みを作りました。その人事評価に基づいて昇進などを決めてい くのです。  まず、アフターサービスという考え方の項目。役所は新しい制度を作るのは得意だ けど、できてしまった制度を自ら改善しようとしない。会社でいえば新製品を作った らそれで終わり。そんな会社は永続しません。問題があればそれに対処していく。つ まりアフターサービス。自ら制度の問題点を見つけ出し改善していけば、人事評価は 二重丸ということになる。 問 具体的には。 答 例えば雇用で、これまでの政策に実効性があるかを調べ始めました。景気の落ち 込みで失業率は依然高止まりしています。2つのチームを作って、全国の雇用現場を 見るよう喝を入れました。雇用の現場と労働政策のミスマッチは起きていないか。あ るとすれば、どう改善すればいいか。それらを検討してもらい、うまくやれば評価が 上がる仕組みです。  次に、ムダ遣いの排除。不要な天下り団体を削ったり、意味のない政策を見つけた りします。また同じ事業をするにも、低いコストでできるようにすれば、人事評価は 上がります。  最後が情報公開という項目。消えた年金問題についても、50年前から内部資料は存 在していたわけです。しかし半世紀の間、表には出なかった。薬害エイズやC型肝炎 についても、同様のことがありました。これらを自発的に公表すれば、それが人事評 価につながります。 問 組織というものは、都合の悪い情報を外に出したがらない傾向があります。 答 一朝一夕にできるものではありません。ただ、後になって社会問題化するたび に、世間で肩身の狭い思いをする。それを繰り返して、いいはずがない。もうやめに したいと考えている官僚もいるはずです。彼らの脱皮を、政治は最大限サポートした いと考えています。 問 官僚批判をしてきた大臣と官僚との溝はそう簡単には埋まらない。 答 冷静に考えてみれば、国民に対してよりよいサービスを提供する、という目的は 政治も行政も同じはずです。もう同じ船に乗った運命共同体なんです。互いが落とし 穴を掘り合っても意味がない。確かに野党の時に私は、厚労省は都合の悪い現実から 目をそむけ、メルヘンの世界に生きる組織だと指摘したこともあった。それを一緒に 変えていきたい。 【「ミスター検討中」批判、気にせず】 問 開眼した官僚から、前向きな反応も出てきましたか。 答 まあ、ポツポツありましたが、それが本音かどうか…。 問 野党時代は「ミスター年金」との異名をとりましたが、最近は「ミスター検討 中」と批判されています。 答 例えば社会保障といった制度は、一度作ってしまえば、それが数十年は続くもの です。社会に対する影響があまりに大きい。だから慎重にならざるを得ない。軽々に 決めることができないから、正直に「検討中」と言っています。ただ何と言われよう が、あまり気にしないようにしています。  日経ビジネス 2009年11月9日号12ページより